離島留学生インタビューその10

深みがありながら、どこかスキップしているような軽やかさも兼ね備えていた、ほの。

丁寧に考えながら受け答えしてくれました。

 

・自己紹介を!

長野出身、3年園芸科のほのです。

 

・久米島を知ったきっかけは?

ちょうど受験で地元を離れたいって思ってた時にお父さんが勧めてくれたのがきっかけです。自分の地元も狭いのでどちらかと言えば島に近い感じの割と田舎で育って、みんな同じ高校に行くみたいな流れが嫌だなって思って。でも何を理由に出ようかなみたいな、勉強では行けないし、かといってスポーツでも行けないしで色々と悩んでて、たまたまお父さんがこの離島留学制度を知ってて思い出してくれて、そこから「行ってみる?」みたいなことを急に言われて決めました。

 

・地元地域の規模ってどれくらいだったの?

それこそ自分達のクラスは同じメンバーがずっと6人とかだったし、それでも多い方みたいな感じ。ほんとに少子高齢化を象徴するようなところで育ってきて、母校の中学校は来年とか再来年とかになくなっちゃうし、久米島は離島だから他と離れてる感はあるけど、久米島の方が地元より規模は大きい笑

みんな人数少ないって言うけどほのにとっては多い。

 

・久米高以外の選択肢もあった?

三重県の農業の高校見に行ったりとか、島根県の離島留学も選択肢の一つにはあった。あと、中学で美術の成績がいいところまでいって、ちょっと美術やってみようかなっていうのでそっち系の高校も考えてた。

 

・美術の道も考えてたんだ!

中学校が生徒数少なかったから一日外に出て自由に描いて来ていいよっていうのもあって、きめ細かいっていうか...それで全国大会とかまでいって、意外に向いてるのかなぁみたいなのもあったから、やってみようかなって思ったけどあまりにも久米島の印象に心が躍ったっていうか笑

一瞬で他の選択肢がなくなったっていうか、直感だった。体験入寮に来てよかった。

 

・体験入寮が決め手だったのね?

うん、そこである寮生とは家族ぐるみで関わるようになって、落ちるかもしれないのに仲良くなっちゃった。両方受かったからいいけど笑

そこからはすぐに色んな書類とかも送ってきてもらって、流れで入った。いつの間にかこっちに傾いてた、進路が。

 

・どの要素が心を動かしたんだろう

もう沖縄のこの雰囲気。ちっちゃいころから沖縄はいろんな所行ってたし、小学校で数か月渡嘉敷島に転校してたこともあって。それの思い出って言うか、その時の感覚が全部戻ってきて「ヤバい、沖縄だ」みたいな。ここで3年間、しかも高校生活だし、しかも寮だし。

楽しみっていうか異世界感っていうか...言葉にするのは難しい...

これっていうのはないけど引き付けられるように自然とこっちになったって感じ。

・園芸科を選んだ理由は?

ぶっちゃけた話をすると中学で進路を担当してくれてた先生から、普通科にするか園芸科にするかっていうのをほんとに直前に聞かれて。考えてなくて

2つの学科があるっていうのは知ってたけど、何も考えてなくて笑

まずは寮に受からなきゃっていうのを最優先にしてたから学校は二の次みたいになってて、何となくの人生プランで勉強をガッツリやる感じじゃなかったし、勉強に対して苦手意識がある方だったから普通科にいったら勉強しなきゃいけないみたいな勝手なイメージがあったから、3年間勉強に追われるよりも新しいことしたいなって感じで、ある意味消去法で選びました。

 

・園芸科どうだった?

農業の時間が1年生の頃はすっごい地味な作業とか、真夏の暑い時間に鶏舎に入ってとか、「うわまじか」っていう今まで体験したことないようなことばっかりであんまり好きじゃなかった。

2年生になったら加工と栽培にコースが分かれるんですけど、加工のコースを選んで先生とも息が合ったし、やることさえやれば自分たちで考えて時間内に好きなことやっていいっていう感じだったから、割と農業は好きな時間になった。2、3年の農業は進路のきっかけの一つになったし、楽しかった。

 

・加工コースって何するの?

お菓子作りもするし、一番大きいのは鶏を絞めて捌いて加工して販売っていう6次産業を自分たちの手で全部やったりもする。

久米島高校に来てなかったら鶏を捌く経験なんてなかっただろうし、中学の時にはこんなこと考えては無かったけど、スーパーで売られてる鶏肉ってこうなってこうなってっていうのが分かったから、それが分かっただけでもいい経験だったなって思います。

 

・他に園芸科で印象に残ってることとかある?

1年生は農業全体を広く浅くみたいな感じでとりあえず全部やるからきつかったけど、きついきついって言いながらみんなで水かけあったりして笑

園芸科ならではじゃないけど、農業の時間があったから島のこと仲良くなれた気もする、椅子に座ってないから。

・寮生活のいいところは?

今思えば毎日お泊まりみたいな感じで、男女でも仲良い学年だったし「コンビニ行こうよ」とかそいういう気楽さがよかった。

 

・寮生活で気になる点

人の生活音があると寝れないんだけど、人の足音とかがあるから...でもその人も悪気があってやってるわけじゃないし、それを言うのもなぁみたいな。

逆にほのが普通だと思ってしてることは誰かにとってはすごい嫌なことかもしれいないとか考えると、一方的には言えないなって。共同生活っていうのは分かって入ってきたから多少は我慢もありました。

 

・やっぱり多少の我慢は必要?

一個一個にむきになったり、全部にイライラしてたらたぶんここ住めない笑

受け流す精神?諦める精神?ある意味、諦めるのも寮生活で生きてく術。

 

・ホームシックとかは?

ご飯が恋しかった、おうちの味がずっと。

・島親さんとの出来事で心に残っているものは?

島親さんと自分の親が電話しているのを聞いた時に、想像してるよりも島親さんは自分のことを思ってくれてるのが分かったことがあって、それは心にきたっていうか、この人たちに迷惑かけるようなことはできないなって思った。

それだけ自分のことを受け入れてくれてるんだって思ったのを覚えてます。

 

・島暮らしでイメージとのギャップはあった?

関係が密になればなるほど聞きたくない話が入ってきたりとかがあるのを、3年目にして感じる。知らない部分がたくさんあったから、見えなかった部分が見え出すと良い部分もあるし、悪い部分もある。

だけど特に想像してたのと違って困ったっていうのはないし、ある意味こういう環境だからこうしていこうみたいな適応力みたいなのはついたかな、環境に馴染んで、その中でどうにかしていくみたいな。

・卒業後の進路は?

奈良県の調理の専門学校に行きます。

 

・もともと目指してた分野?

食に関する感動が人一倍大きくて、おいしいっていう感情がたぶん人よりも強いから、沖縄に来て今まで食べてなかったものを食べたり、魚の新鮮さにびっくりするとか、そういう小さい感動が食に携わろうっていうのにつながったと思います。

それこそ園芸科の農業もそうだし、食べていかないと生きていけないから、そこを学んでおいて損は無いかなっていう感じです。

 

・その先に見据えるものは?

ないです。計画を立ててここにきたわけじゃないし、その時の関わる人とか状況によって自然とこうなってきたから、目標に向かってやるっていう感じじゃなかった。だからたぶん専門学校に行ってもそうなんだろうなっていう感じ。

だけど、地産地消の小さいカフェを知り合いが始めてて「いいなぁ」って思ったから、お店を持つならそういう感じがいいかも。

「たくさん野菜取れたからあげる」とか「今日のお刺身」とか、そういうやりとりがいいなぁって。そういうのをそのままお店にできたらなって、そんな簡単じゃないのは分かってるけど、考えはそんな感じ。

・離島留学の経験は活かせそう?

場所によって地域性は違うし、多少なりとも生活スタイルとか生活文化は違うから、行った先々で「これはこうだな」とか「ここは違うな」とか、自分なりに全部受け入れて、その環境でうまくやっていくみたいな力が付いた感じ。置かれたところで上手くやっていかなきゃいけないんだなっていうのをすごく感じたから、奈良では奈良のものに馴染む。環境に適応していくみたいなのを活かしていけたらと思います。

 

・離島留学はどんな人に薦めたい?

この島の中でできることや楽しさを見つけられる人とか、なんかやってみよう精神がある人におすすめかなって思います。

・久米高いいなぁって思っている方々へメッセージを!

割と自分のことは自分でできるし厳しい学校ではないけど、自由なだけ人に流されやすいっていうのもある。その中でやるべきことをやって、メリハリをつける生活ができたら、高校生活有意義な時間になるんじゃないかなって思います。